中学受験をご検討中の保護者の皆様、ご苦労様です。
受験に出題される物語文の中には、続きが読みたくなるお話がたくさんあります。
今回は、そんな中でもオムニバス形式で話が展開していく物語『クラスメイツ(前期/後期) 森 絵都 (著)』をご紹介したいと思います。
刊行されたのは2014年ですが、2018年に加筆修正された上で文庫化されました。
2019年度の入試問題でも星野学園から出題されたので、ロングセラー作品とも言えますね!
物語の展開の仕方に特徴があるので、是非!オススメしたい小説です。

ロングセラー作品でもあるけど、これからも末長く出題されそうな作品とも言えるんかな?
ソコはわかりませんね!paddle師匠!!
でも、小学校高学年でも読めるのでオススメの一冊です。(一部、軽めの性的表現が出てきます…)
それでは、行ってみましょう(^o^)
オムニバスの種類
オムニバスって何?
オムニバスって言葉を調べると、イロイロ出てきます。
細かいコトは置いといて、私の解釈で言うと『短編集』ですね。
でも、次の2パターンがあると思います。
- 単純な短編作品集で、各1話が完結している。
⇨”オムニバス完結タイプ”(以下、完結タイプ)と定義します。
例)『小学5年生 重松 清 (著)』 - 短編作品がつなぎ合わさって一つの大きな物語となっている。
⇨”オムニバス連作タイプ”(以下、連作タイプ)と定義します。
今回ご紹介する『クラスメイツ(前期/後期)森 絵都 (著)』は、連作タイプとなります。
※完結タイプ、連作タイプともに私の造語です。
連作タイプの魅力
連作タイプの魅力は、何と言っても登場人物の視点で物語が展開するトコロにあると思います。
そして、バトンを渡すかのように1話ずつ話が受け渡しされていくのです。
バトンを渡しつつ、発散された話が最後にどういうカタチで収束し、エンディングを迎えるのか…というトコロも見処ですね(^_^)
連作タイプの小説としては、個人的には『風のヒルクライム 加部 鈴子(著)』が大好きです。
機会があれば、別途詳細をご紹介したいなと思います。
クラスメイツの紹介
クラスメイツ(前期/後期)の概要
『前期』は、『新学期』からスタートします。起承転結の『起』〜『承』に相当し、物語が展開していきます。
『前期』で展開/発散した物語は、『後期』の『修了式』すなわちエンディングに向けて話が収束していきます。
当然、『後期』は、起承転結の『転』〜『結』に相当します。
新しく中学生活を送るコトになった24人の個々の生徒達の視点で物語が進行していきます。
この24人とは1クラスの人数ですが、『前期』編で12人、『後期』編で残り12人が登場します。

要は、12話ずつ構成されてるってコトやな!
そうなんですよのpaddle師匠!
下記のようなスクール系アルアルが出てきます。
- クラスでのポジション(居場所)を探す生徒達。
- 新しい友達とのグループ構築。
- 小学生の時とは違った、新しいキャラ作りを目指すものの…失敗する生徒も。
一言で言うと『自分の居場所とは?』が隠れたテーマという印象です。
当然、様々な事件が発生します。
それらの事件は『後期』への伏線であると共に、『後期』でそれらの事件の真相が明らかになっていきます。
背表紙の生徒って誰?
24人いる生徒達のうち、背表紙の登場人物二人って誰だろう?ってスゴく気になりました。
こんなコト考えるのって私だけでしょうか…?
『前期』の女子と…
『後期』の男子です。
本を横に並べてみると…つながっているように見えますね(^。^)
候補として妥当なのは、クラス委員長の『小野裕真(ヒロ)』、そして副委員長の『矢部真琴』。
でも、この本を読んだ後…次の生徒であって欲しい!と願うのは私だけじゃないはずです。
男子が『小野裕真(ヒロ)』で、女子は『理緒』。
なぜ、そう思うのか?この本を読んだ方なら…きっと理解してもらえると思います!
クラスメイツ『前期』
内容紹介
ひとりひとりが打ち明ける 24人の中学校生活。
中学校にはいろいろな生徒がいる。
自分を変えられるような部活を探す千鶴、
人気者になりたいのにキツいツッコミで女子を敵に回してしまう蒼太、
初めてできた親友と恋敵になるかもしれないと焦る里緒……。
小さなことで悩んだり、なんでもないことで笑ったりした、
かけがえのない一瞬のまぶしさがよみがえる。
北見第二中学校1年A組の1年間を
クラスメイツ24人の視点でリレーのようにつなぐ、青春連作短編集。出典:Amazon
『千鶴』と『蒼太』の間に『しほりん』のパートがあります。星野学園では『しほりん』から出題されていました。
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入試で出題された学校一覧
下記の学校で出題されました。ご参考ください。
2015年 学習院女子中等科
2015年 高輪中学校
2015年 田園調布学園中等部
2015年 明治大学付属中野八王子中学校
2016年 関東学院六浦中学校
2016年 皇學館中学校
2016年 玉川聖学院中等部
2016年 横浜共立学園中学校
2019年 星野学園中学校
クラスメイツ『後期』
内容紹介
1年A組後半戦、やっとわかった クラスメイトたちの本当の気持ち。
目立つためだけに指揮者を引き受けた心平は、合唱コンクールを成功に導けるのか。
持久走大会の裏で行われた里緒とアリスのある賭けの行方は。
そして迎えた修了式、委員長のヒロはこの日もクラスの問題に頭を抱えていたが――。
毎日顔を合わせていてもまだまだ知らないことがある。
イベントとトラブルが盛りだくさんの1年A組後半戦、
クラス全員が主人公となって繰り広げられる、ひとりひとりの成長物語、完結!出典:Amazon
※私が思い入れのある生徒…『里緒』と『ヒロ』を青太字にしています。
入試で出題された学校一覧
下記の学校で出題されました。ご参考ください。
2015年 海城中学校
2015年 神奈川学園中学校
2015年 学習院中等科
2015年 甲陽学院中学校
2015年 椙山女学園中学校
2015年 帝京大学中学校
2015年 同志社女子中学校
2015年 日本女子大学附属中学校
2015年 法政大学第二中学校
2015年 三輪田学園中学校
2016年 鈴鹿中学校
2017年 岡山白陵中学校
2019年 青山学院横浜英和中学校
2019年 暁星国際中学校
2019年 名古屋中学校
2019年 津田学園中学校
最後に
読み手にとって、思い入れを抱く生徒って異なると思います。
私の場合は、全て読み終わった後『里緒』と『ヒロ』に強い印象として残りました。
最後に登場するからかもしれませんね。
しかし、最初に興味を抱いたのは、『レイミー』という強烈不思議キャラ。
この『レイミー』は、『しほりん』のパートで彼女の個性が際立つのですが、2019年度の星野学園中学校の過去問を解いてみて『この話の続きを読みたい!』って思ってしまったのでした。
他の人が読むと、もっと違う生徒に思い入れを抱くかもしれません。
その理由は、自分の中学生時代とシンクロし、当時の中学生活を回想しながら読むからだと思うのです。
今はオッサンになってしまった私ですが、大人になった今だからこそ巡り会えてよかった!と思えるような一冊でした(^。^)
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